生活習慣病
日本人の寿命は世界でもトップクラスですが、実際に健康に生活できる時間はこれよりずっと少ないです。大きな原因として心臓の病気や脳梗塞などの血管の病気があります。実は心臓・血管の病気が発症するかなり前から病態が進行しており、その原因が糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病です。これら全体を的確に管理することが、その後の経過を改善するという研究報告もあります。人生百年の時代を健康に過ごしていただくために、心臓・血管病の最も根幹にある生活習慣病を管理することが大切です。
糖尿病について
日常の食事、運動が重要であり、当院では管理栄養士による指導を組み入れております。また、近年は薬物療法の進歩が著しく、作用機序の異なる7種類の内服薬が存在します。個々の状況により、より効果の期待できる薬剤が選択でき、目標血糖値に到達しやすくなりました。それでも内服薬だけではコントロールできない場合には、インスリンについての説明と導入を行います。糖尿病の治療目標は、合併症を予防し、健康な人と同様な健康寿命を保つことにあります。同時に、血圧やコレステロールもしっかり調整することが大切です。定期的な合併症の評価を行い、健康を維持できるように助言させていただきます。
脂質異常症について
初期には自覚症状はありませんが、動脈硬化の進展に大きな影響をもつため、ガイドラインで厳格な管理目標が示されております。食事、運動療法を行ったうえで、動脈硬化巣を縮小する力を持つ薬剤を用いて、脳梗塞、心筋梗塞などの心血管病の発症を予防します。
高血圧について
2019年に高血圧治療ガイドラインが改定され、降圧目標がより低い方向に設定されました。腎不全、腎動脈狭窄、ホルモン異常、睡眠時無呼吸など、高血圧の原因があるのか、問診、診察、検査などにより評価し、原因となる疾患があれば、それらを取り除くため対応します。原因が明らかでない場合には、日本人は塩分摂取量が多いことから塩分の制限を行うとともに、運動、薬物療法を組み合わせて血圧の調整を行ってまいります。